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2019年7月 5日 (金)

3622  後戻りの方法3

山登りの喩えの稿で、私たちは(先進国は)多くの近代的装備(科学技術)を使って山登り(工業化、近代化、都市化)を続けてきたと書きました。では、今度は山を下る(環境負荷を減らす)のに、やはり近代的な科学技術を使えば良いではないか、という議論を始める人達が居ます。しかし、考えてみなければならないのは、科学技術を使って装備を作るにも、それを使うにも資源やエネルギーを大量に消費すると言う点でしょう。その最たる例が、原子力エネルギーでしょうか。この国は、化石燃料を減らすというお題目で原発を50基も作ってしまった訳ですが、原発を作るのにどれだけの資材やエネルギー(=お金でもありますが)を注ぎ込んだか、あるいは今「副一」を廃炉にするために、日々何千人の人達が働いているかを想像するだけで、今の文明の環境負荷を科学技術を使って減ずるのが如何に困難であるか理解できる筈です。
では私たちはどう行動すべきですが、ベストな方法は多分「後ずさり」ではないかと思っています。山を下るには登りよりは確かに体力(エネルギー)の消耗は少なくなるでしょう。しかし、下りには滑落やスリップによる転倒など、登りには無かったリスクも多いのです。ハシゴの昇降も同様でしょう。登りは、両手を使ってハシゴの縦棒を握っていますので、落下のリスクは小さいのですが、一方下りで体を逆向きに降りると、見晴らしは良いのですが、両手でしっかりと握るのが難しくなり、落下を防ぐのは難しくなります。一方、登りと同じ姿勢で下る場合、足元は見づらくはなりますが、ステップを確認しながら慎重に一歩一歩下るのであれば、いざという時には両手で体をサポートできますので、リスクは小さくなるでしょう。この降り方を「後ずさり」と呼ぶのです。
環境の負荷を下げるのも同様のアプローチになるでしょう。先ずは、資源やエネルギーの使用量を減らす「ケチケチ作戦」で可能な限り負荷を減らします。しかし、例えば化石エネルギーを減らす目的で、「代替エネルギー」を持ち出すに当たっては慎重でなければなりません。代替エネルギーも新たな環境負荷を生み出す可能性も否定できないからです。原発の廃炉の問題は指摘しましたが、今問題になりかけているのは、寿命を迎え役目を終えた太陽光発電発電パネルの始末です。ガラス質の基材とシリコン薄膜、銅線や裏張り、アルミのフレームなどの集合体であるパネルは、簡単に分離したりリサイクルしたり出来ない厄介者なのです。科学技術で作ったモノには必ず寿命があり、それを廃棄するにもそれなりの環境負荷が発生するのです。続きます。

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