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2019年8月 6日 (火)

3636  自家中毒

自家中毒とは、生き物が自分自身が出した(有害な)物質で、自身が中毒を起こしてしまう現象を指す言葉です。その意味で、全ての公害は人類の自家中毒の実例であるとも言えるでしょう。その毒となる物質は、企業によって、あるいは大気、あるいは水、あるいは土壌中に思慮なく廃棄され、やがてそれが自然に濃縮され、あるいは全体に地域的な濃度が高まって、ついにはそこに暮らす人々に害をもたらす結果につながったのでした。
しかし、もっと深刻なのは、生活をする私たち自身が出す廃棄物で生ずる自家中毒です。それらは、一見毒ではない様な物質で引き起こされるからです。例えば、生活ゴミです。その多くは燃やされる訳ですが、ゴミの中でも生ゴミは焼却炉の燃焼温度を低下させ、いわゆる「ダイオキシン類」を発生させ易くするのです。今でこそ管理され適正な方法でリサイクルされている廃蛍光管は、以前は安易にガラス管を割って処理していましたので、その中に微量含まれていた水銀は、大気中に放出されていたでしょう。同様な例は、エアコンに使われてきたフロンガスにも見られます。フロンガス自体の直接的な毒性は殆ど無いのですが、大気中に放出されると成層圏の上まで上昇し、それに含まれる塩素がオゾン層のオゾンを破壊するのです。その結果、地上に到達する紫外線の量が増えて、やがて高い率で私たちに皮膚がんなどの害悪を及ぼすのです。
全く毒ではない物質でも自家中毒は起こり得ます。それが、たとえばCO2やメタンです。それらは、自然の状態でも大気中には夫々数百ppm、千数百ppb程度含まれている物質ですが、その濃度が急激に上昇し続けているのです。CO2は400ppmをかなり超えてしまい、メタンも2000ppbに迫ってきているのです。これは、多量の化石燃料の使用の結果CO2が増え、その結果温暖化が進み、寒冷地の凍土地帯の湖沼がより多く融解し、そこからメタンガスが多量に発生する事により、更に温暖化が加速すると言う悪循環を引き起こしているからに他なりません。
こう考えてくると、いわゆる環境問題と呼ばれる諸問題の多くは、つまるところ何らかの形での自家中毒ではないかとも言えそうなのです。自家中毒の恐ろしさは、私たちがそれを分かっていても残念ながら(便利な)生活スタイルをなかなか変えられない点にあるのです。やがて人類は、人類自身が出した毒で滅亡する事になるのでしょうか。

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