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2020年5月12日 (火)

3759 コロナ雑感

今回のコロナ禍に限らず、凡そ災害というものは、平常時には水面下に隠れていた岩礁(問題点)を露わにする様です。自然災害による社会活動の減速や停止は、多分破壊されたインフラの復旧や仮設住宅などの整備によって正常化しますので、被害者もある程度の見通しが立ちます。災害列島でもあるこの国は、地震・津波、火山や洪水に至るまで、数多くの多様な自然災害を経験してきましたので。災害訓練もそれなりに行われてもいて、ある面では慣れてもいるでしょう。しかし、今回の様な病原菌・ウィルスによる「人為的な」活動の停止に関しては、これまで想定も予行演習も行われておらず、想定外だったのです。それが極端に表れたのが、医療システムと経済活動ではないかと見ています。
医療面で言えば、この国の病院が持つベッド数は、世界でもトップレベルの充実度だと言えます。しかしそれは主に、高齢者など重篤ではないが動きづらい患者が長い期間入院生活を送るためのベッドであり、いわゆる感染症に対応した個室や陰圧室ではない訳です。そのため、今回のコロナ禍では、苦し紛れとも言えるPCR検査数の抑制によって、重症者のみを選別するという「日本式」の陽性者検出策を取ったのでした。それは、諸外国の様に取りあえず陽性者を発見し、急造の病院に隔離するという方式に比べ、軽症の陽性者を市中に放置するのでオーバーシュートのリスクも高いのですが、この国の国民が得意な「規律を守る」特性と何故か低いまま推移している死亡率に助けられて、いわゆる医療の底の浅さによる医療崩壊は起こしていないのは思わぬラッキーとしか言えないでしょう。
一方、3759でも言及した様に、ストックの極端に少ないフロー経済社会は、今回の様な「経済の急ブレーキ」には極端な弱さ露呈してしまった様です。ヒト、モノ、カネの流れが突然止まったしまった今の経済社会は、何しろストックが極端に少ない訳ですから、在庫がすぐに底を尽き、モノ不足が生ずる訳ですが、幸いにも食料生産や物流の減速は限定的だったので、見かけ上ではマスク不足以外のモノ不足騒ぎは避けられました。しかし、出口のフン詰まりによる問題、例えば学校の休校になどによる食材のダブつき、石油の値崩れ、極端なヒトの移動の制限、同様に殆どのサービス業の活動停止(抑制)などに伴う、今の経済の底の浅さを露呈してしまったのは否めません。これを絵として描くなら、確かに経済の海は広大な広がりを見せてはきたのですが、その海は浅く、水面下には多くの岩礁(課題)が見え隠れしている様として表現できそうです。その浅い海を、岩礁をどうにか避けながら巨大なタンカーや貨物船や客船がひっきりなしに往来しているという絵です。

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