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2020年5月29日 (金)

3767  社会のゆとり

工学の常識でもあるのですが、一般に硬いものは脆いのです。アルミを打ったり曲げたりすると簡単に変形しますが、焼きの入った鋼の刃物は、刃こぼれしたり折れたりするでしょう。変形したり、曲がったりできるのは、材料を構成する結晶そのものが柔らかく変形しやすかったリ、あるいは結晶間に柔らかい組織が介在するからです。
さて、社会の柔軟性です。都市社会を眺めてみると、社会構造の中の柔軟性が極端に低くなってしまったと言うしかない状況だと思っています。かつて下町に残っていた(人情とも呼ばれる)共助の精神や仕組みも、地方からの流入住民割合の増加によってほぼ失われてしまったと言えるでしょう、典型的には大規模団地に見られる極端な高齢化によって、その傾向に拍車が掛かることも間違いないでしょう。この様なゆとりの無い社会を、大規模な自然災害(地震や津波や水害)または、今回の様な疫病災害が襲った場合、脆い社会は一気に崩壊に危機に直面することになります。都市では多くの住人は、賃貸住宅に住んでいますから、短い期間であっても収入が途切れてしまうと、そこを追い出されます。つまり、都市社会は巨大な自転車の様なものに例えられるかも知れません。自転車は、止まると倒れてしまうものだからです。
田舎の暮らしはかなり異なります。先ず、多くの人々は、自分の所有する家に住んでいます。少し郊外に行けば、多くの家々では自家消費する程度の畑を耕しています。古いコミュニティが残っている地区では、近所同士がモノを融通しあいますし、人間関係も密です。つまり、知らんぷりが出来ないのです。15年ほど前、新潟県の山間地が大地震(中越地震)に見舞われたことがありましたが、すぐに近隣地域からの手厚い支援の手が差し伸べられた様な記憶があります。3.11の震災や津波被害だって、もし原発事故が重ならなければ、かなりのスピードで復興が進んだことでしょう。
コロナ禍で顕著になった、都市社会の脆さですが、もし追い打ちをかける形で他の自然災害に襲われた場合を想定すれば、狭い避難所に多数の人達が、まだ終息しない新型コロナの影に怯えつつひしめいているという「地獄絵」がどうしても想像されてしまうのです。

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