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2020年7月 7日 (火)

3782 緑のダム

今回の九州豪雨で、またぞろ「ダムを造っておけばこんなことには・・・」論が高まっている様です。問題の球磨川支流の「川辺川ダム」は、前の政権の際に仕分けの対象となり、地元の意向もダム反対が多かったこともあり計画自体が消滅することととなったのですが、その球磨川が今回複数のヵ所で氾濫してしまった訳です。しかし、川辺川ダムが実現していたとしても、今回の水害が防止できたかは甚だ疑問と言わざるを得ません。何故なら、川辺川は球磨川の一支流に過ぎず、流域面積で言えば人吉市のある大きな盆地のホンの2割程度を占めているに過ぎないのです。つまり、球磨川流域に降った雨の2割をダムが食い止めたとしても、合流地点の上流の水害を防ぐ事は無理ですし、結局ダムも満水になれば緊急放流する訳ですから、時間は稼げるにしても水害は防ぎきれないのです。
問題は、山の保水力だと思うのです。今回、九州の山を巡る中で気が付いたことがあります。それは、公有林(町有林や村有林など)が多い事とその内のかなりの部分が、多分戦後に植林された針葉樹であったという点です。勿論、宮崎県のえびの高原の様に自然林が多い場所もあるのですが、ある晩ここで一晩で400㎜程度の強い降雨に遭遇したのです。翌日、霧島山に登ったのですが、沢の水が増えているという印象は全くなく、水も濁っていなかったのです。これは、落ち葉が厚く積もった広葉樹雨林の林床の保水力と浄化力の賜物でしょう。一方、人工林の多い球磨川流域は、日本でも指折りの急流であることもあって、集中豪雨後アッと言う間に川が氾濫してしまったと見ています。
林業の衰退は、保水力の弱い針葉樹林の放置を招きました。理想を描くなら、林業を復活させ樹齢の高い木は伐採して材木やバイオマスとして積極的に利用すべきなのです。その上で、日が差す様になった林床には、昔からあった広葉樹を植えて「混交林」として維持すべきだと思うのです。自然林であった広葉樹林は基本的には手入れは不要です。薪などとして利用しても、実生再生や萌芽再生で速やかに復活するからです。つまり、急峻な山からの水害を防止する緑のダムは、針葉樹林などではなく、絶対に昔からその地域に自生していた樹種による広葉樹林であるべきなのです。

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