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2020年7月26日 (日)

3796 沖積平野の宿命

太古の昔から川が土砂を運び続け、それで出来上がっている平野を沖積平野と呼びますが、砂漠の無いこの国では、その意味では平野と呼ばれる地域のほぼ全てが沖積平野でしょう。山がちのこの国では、急峻な山を流れる急流が岩を削り、粗い土砂を運んで作るのが扇状地ですが、もっと細かい砂や粘土はさらに下流まで運ばれて、川の流速の低下度合いに応じて、沈殿し「河床を高く」していきます。しかし、それは同時に流域に過剰な降雨があった際に、川の氾濫が起こり易くなることも意味します。かつては、河床を下げる意味もあって川の土砂を浚渫することも盛んに行われていたのですが、砂利需要の低迷もあって今は殆ど見られなくなった様です。それに代わって行われたのが堤防を高くする工事です。それをある時期から「国土強靭化」などと呼びならしている様ですが、今回球磨川流域で起こった様に、堤防を数メートルも越水する様な洪水に堤防は無力です。
それどころか、堤防を高くするにつれて、人々がかつて氾濫を繰り返した危ない場所(氾濫原)に好んで家を建てる様になってしまい、それが近年の大規模な水害を招いてしまっている点は忘れてはならないでしょう。平らな土地は、道路や建物を作って街も広げ易いのですが、水害の頻度が高まってから慌ててハザードマップを作っても、人々の「正常性バイアス」は如何ともしがたく、また時間や予算の都合上、都市計画の急激な変更も出来ないこともあって、毎年の様に大規模な水害発生を防止できないで来たのです。
異常気象が日常化してしまった今、百年に一度の豪雨が、どの地域を襲っても不思議はない時代に入ったと考えるべきでしょう。であるならば、堤防の上面より低い土地に住居を構えている人たちは、改めて自身の家の安全性を見直してみるべきでしょう。問題は、地方より大都会でしょう。河口近くのゼロメートル地帯にどれだけの人々が群れて住んでいるかを考えた時、殆ど絶望的になります。もし、このまま彼らが住み続けるのであれば、低層の戸建て住宅をを諦めて、高僧集合住宅に建て替えなければ、近い将来大量の水害難民を生み出す結果を招く筈です。近年、台風や豪雨による水害は毎年の様にこの国を襲っていますが、その地域が異なっているため、一地域で見れば、やはり災害は忘れた頃に襲ってくることになりますが、もし線状降水帯がほんの数十キロずれていれば、我が事になっていたことを忘れるべきではないでしょう。対策は、平常時にこそ打つべきなのです。水害が作った沖積平野に密集して住む私たちは、その宿命から絶対に逃れる事は出来ないのですから。

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