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2021年2月26日 (金)

3903 金属疲労と金属腐食2

2902に書いた様に、投稿者としては、問題となっている航空機エンジンのブレードの破壊は、てっきりブレードの外側に、腐食による初期傷が発生し、そこが起点となっての疲労破壊が原因だと思い込んでいましたが、専門家の分析では、どうやら破壊の起点となった初期傷は、軽量化のために中空としている内部表面にあった様なのです。外表面の初期傷を検知する方法は、浸透探傷検査や渦流検査等いくつかありますが、内表面の傷を検知するのは至難の業と言えるでしょう。超音波検査はその数少ない検査法ですが、内部が複雑な形状の場合、かつその傷がごく小さい場合、ベテランでも見逃してしまう可能性が高いのです。更に詳しく言えば、超音波の周波数(数kHz)の波長より小さい傷などは、原理上検出は出来ないのです。
中空のファンブレードは、これは想像ですが、Ti鋳物又は焼結金属+HIPで作られるのでしょうが、外表面はいか様にも滑らかに仕上げる事ができますが、アクセスのしにくい(出来ない)内部の表面は、鋳放しのままとせざるを得ないでしょう。ザラザラしている鋳放し表面は、詳細に見れば小さな凸凹(山谷)がある筈で、その谷の部分は、一種の切り欠きとも見做せるでしょう。かつ金属結晶と隣接する結晶の間(粒界)は、当然の事ながら強度は結晶自体より弱く、切り欠き効果と粒界の弱さが重なった場合には、設計より耐繰り返し荷重が低下している可能性は否定できません。
加えて、中空の内部空間には、圧力変化を回避するために、外部の圧力と同じにする目的で、通気穴が設けてある筈です。この穴からは、当然の事ながら塩分を含んだ空気も出入りするので、内部で結露して腐食環境を悪化させる点も懸念されるのです。
投稿者としての結論を述べるなら、このエンジンを積んだ旅客機は即飛行停止とし、同エンジンを引き続き使うなら、複合材化するなどの設計変更して、その後の耐久性試験が完了するまで、お蔵入りとするしかないと見ています。しかし、設計変更が完了し、追加の耐久性試験を行うには、莫大な費用と時間が必要ですので、このエンジンは諦めるしかないのかも知れません。ちなみにライバルメーカーのエンジンに使われているファンブレードは、複合材で作られていますから、腐食や金属疲労が原因となる破断事故は起こりません。とは言いながら、複合材には複合材なりの弱点もありますから、絶対に安全であるとも断言できないのでしょうが、大分マシであると考えても良さそうです。なんであれ人間が、作ったモノに100%完璧などは到底期待できないのです。設計、素材製造、部品製造、組立、検査、メンテナンスなど全てに人間が関わっている限り、人間が犯す「ヒューマンエラー」からは逃れられないのですから。

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