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2021年2月23日 (火)

3901 航空機エンジン事故

同じ機種で、同じエンジンを積んだ旅客機の事故が再発しました。今回のB国事故での裸になって燃え盛るエンジンの動画はかなりショッキングなものでした。航空機製造に少しは関わった身として事故原因が気になります。国内の事故とB国の事故に共通しているのは、ファンブレードと呼ばれる羽根が折れたために生じたエンジン破壊事故であろうとされている点です。この手のタービンエンジンの羽根(ブレード)の破損原因としては、1)鳥などの異物の吸い込みによる場合、2)ブレードに初期傷があって飛行中に(疲労)破壊に至ったケース、更には3)タービンブレードの異常振動(固有振動数による共振)によって破壊に至ったと言うケースが考えられます。
消去法で考えると、1)は小鳥ではなく、かなり大型の鳥でない限り、ブレードの破壊を起こすほどの事故にはならない事、2)では定期検査で破壊を起こすほどの傷を見逃すミスは考えられない事から可能性は低いと見ています。
残るのは、3)ブレードの異常振動による破壊ですが、ブレードは片持ちの梁と考えられ、どんな個体にも固有振動数が存在する限り、共振は避けられない現象でもあります。ジェットエンジンの場合、停止状態からクルージング状態まで、エンジンの回転数が変化しますので、全てのブレードが固有振動数(かその倍数を含めて)を通過するのは間違いありません。勿論、定常回転数では共振を起こさない様に設計はされてはいるのでしょうが、離陸時にエンジンの出力(回転数)を上げていく段階で、共振を起こす回転数の通過に一定以上の時間が掛かる場合、異常振動でブレードの破壊に至る可能性は否定できないのです。これは、全てのタービンエンジンの宿命的な欠点だとしか言えません。
事故の背景として、現在のジェットエンジンは効率を追求するあまり、エンジンの直径(=ブレードの長さ)ますます大きく設計される傾向にあると言う事実は見逃せません。最近のエンジンはジェット噴射によって推力を得るのはなく、殆どの推力を低圧側のファンブレードによって得ているのです。つまりは、プロペラの数の多いターボプロップエンジンの様なものだと言って良いでしょう。そのプロペラが、カウルと呼ばれる覆いによって、外からは見えにくくなっている状態なのです。
この種の事故を避けるには、操縦的ニックで離陸時に危険回転数をごく短時間で通過する様にするか、エンジンの設計の考え方をを効率重視から安全重視にシフトし、ブレードを短くする方向に見直すかなどが考えられますが、前者に頼るのであれば、この種の事故をゼロにする事は出来ないだろうと見ています。まあ、エンジンは2台以上ついているので、両事故とも残ったエンジンで無事着陸できたと言う事実は、少しだけは救いにはなりますが・・・。

 

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