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2021年4月 8日 (木)

3925 ある人生8

<海外奔走時代3:ブラジル時代>
ドイツから日本に戻ると、今度はブラジルのE社とのリージョナルジェット機の共同開発の話が急激に具体化し、先行情報を集めるチームの一員として取りあえずブラジルに飛びました。その後、プロジェクトは実際に動き出し、やはりDBTの一員として、今度はブラジル駐在の身となったのでした。E社が所在する、サンパウロからやや北に上がった、S・J・ドスカンポスという人口40万人ほどの高原の街に丁度1年間滞在していました。休暇を利用してブラジルのいくつかの観光地へ旅行もしました。予防接種が必要なアマゾンこそ敬遠しましたが、印象的だったのはブラジルでも内陸部のパンタナール平原と、そこから流れだす大きな川の途中にあるイグアスの滝でした。その近くには、豊富な水量を利用したイタイプ・ダムがあるのですが、そこには19基もの発電水車が並んでいて、それぞれの導水管の直径が、なんと10mもあるのでした。説明版によると、1基の出力は100万kwとのことで、原発1基分ほどに相当します。このダムだけでブラジルの電力の8割程度が賄える規模だとか。意外にもブラジルは、世界でも有数のカーボンフリーの先進国だったでした。加えて街を走っている車の半分ほどは、アルコール燃料車で、その(エチル)アルコールの原料は、広大な農地で作られるサトウキビで作る醸造アルコール(つまりは焼酎)だというのです。この国で輸入される石油は、残りの半分ほどの車や工場のボイラ、水力発電所からは遠すぎる北部の地域で行われている火力発電所に使う燃料程度なので、再エネ率で言えばこの当時でも既に60-70%は既に達成されていた、と想像しています。
1年のブラジル駐在から帰国して、お疲れ様という意味もありやや暇な部署に異動し、しばらくは天井を眺めながら考えに耽る時間ができました。その時ボンヤリ考えていたのは、これからの時代のキーワードは、「環境(保全)」であり、「持続可能性」だろうというものでした。石油を多量に消費する、車や航空機と言った「20世紀の乗り物」は、やがて「淘汰され、駆逐される」だろうとの自分なりの予測も立てたのですが、それを実感したのはあの9.11事件だったのです。あのテロ事件は、燃料をたっぷり積んだ旅客機は、使い方によっては「空飛ぶ爆弾にもなり得る」事を見事なまでに証明してしまったので、それを怖がった人々は海外旅行を敬遠し、事件直後の旅客数は、それまでの40%台まで激減したのでした。つまり、当時の海外旅行客の内2/3ほどは不要不急の、いわゆる物見遊山客だったことが明らかになったのです。それはまさしく、「航空バブル」ではないか、と強く感じたものでした。

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