« 3928 ある人生11 | トップページ | 3930 ある人生13 »

2021年4月13日 (火)

3929 ある人生12

<フリーランス時代:カザフのこと>
フリーランスになって以降、かなり熱心に行っていた活動が、企業の省エネ診断や助言でした。国内企業の診断に並行して、ダメ元でヨーロッパ銀行の途上国支援の専門家派遣制度にも省エネ分野で登録もしていたのですが、ある時「カザフスタン」という国にある自動車組立工場が助言を求めているとの公告がありましたので、さっそく応募したところ、トントンと話が決まり2011年の春先にカザフスタンに入ったのでした。訪問した企業は、従業員200人ほどのロシア製の小型車をノックダウンで組立てる中小企業でした。
カザフは、旧ソ連の人口1500万人ほどの国ですが、人口は、ロシア系、モンゴル系、アフガン系にほぼ3等分されており、国土は日本の7倍もあり、地図上ではモンゴルの隣に、ちょうど双子の様に並んでいるシルクロード上の国の一つです。冬季は、マイナス30℃にも気温が下がる内陸の国なので、工場の壁は40センチもあって断熱もされてもいました。暖房は、旧ソ連や東欧の国々の殆どがそうである様に、全て温水暖房となっています。町の郊外には、公営の温水工場があり、町全体に温水と戻りの配管を巡らし、各家々や工場などへ温水を供給しているのです。基本的には、その温水の購入費用は、建物の面積に応じて割り当てられる様ですが、工場など大口需要家には給湯量に応じての従量制も併用されている様でした。
訪問した企業は、元の鉄工所の様な高い建屋をそのまま使っていて、フロアレベルで車の組立てを行っている工場でしたが、事前情報の検討で、20mを超える高い建屋の上の部分まで暖房している無駄に気が付きました。そこで、予め準備し持参した伸縮式の長い釣り竿に温度センサーを吊り下げて、丸一日計測をした結果、確かに床付近で20℃程度の時、天井付近では28℃にもなっていて、使われていないスペースの空気を暖める無駄が確認できたのです。
診断は、組立ラインがあるエリアに釣り天井を設置して、その下だけを暖房するか、その投資が出来ない場合は、作業者個々に赤外線ヒーターを配布し、その代わり工場全体の暖房温度を数℃下げる、というものでした。温水・温風暖房では、暖房温度を1℃程度下げるだけで、凡そ10%程度の省エネが実現できますので、数℃では数十%の省エネになる計算です。仕事の中身は別にして、カザフは北東南を高い山に囲まれ、西はカスピ海に面していて、ロシアのバイコヌール基地もある砂漠の国ですが、一方では石油や天然ガスや鉱物資源に恵まれた資源大国であり、他方では山や山際には豊富な雪解け水によって風光明媚な観光自然もあるという、いわばこれからの国だと感じました。日本も、何時までのB国の顔色ばかり窺っていないで、この様な国とも密な国交を結ぶべきなのでしょう。いずれにしても自費ではなかなか行けないシルクロードの国での2週間の滞在は、人生の中でも得難いエポックになったのでした。

|

« 3928 ある人生11 | トップページ | 3930 ある人生13 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 3928 ある人生11 | トップページ | 3930 ある人生13 »