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2021年5月14日 (金)

3942 「水素社会は来ない」に賛同

批判はこのブログの目的ではありませんが、理屈は理屈です。少し前から、「水素社会などは実現しない」という論調の記事なり、報道なりを目にする事が多くなりました。投稿者もその論旨に強く賛同する一人です。石炭から石油時代になった歴史を少し振り返るなら、固形燃料である石炭に比べ、液体燃料である石油は、エネルギー密度、クリーン度、貯蔵性、輸送性、掘削コストなどいずれをとっても石炭を凌駕したため、急速に普及したのでした。この国では、石炭の露天掘りの適地が無かったこともあり、危険な坑道掘削を行わざるを得ず、毎年の様に不幸な炭鉱事故が起こっていたことも石油社会を加速した要因でもありました。
さて、石油社会から水素社会への移行の問題点です。
最大の問題点は、天然の水素ガスは存在しませんから、水素はいずれにしても何かからエネルギーを使って作るいわゆる「2次エネルギー」である訳です。現状は、LNGの改質で作るケースが主流なのでしょうが、メタン(CH4)から引きはがした炭素(CO2)が、メタンを直接燃焼させたと同じ量が発生するのです。これは化学にはやや弱い投稿者にも容易に理解できる化学式で説明可能です。これは、水素社会=ゼロカーボン社会という主張と真っ向から矛盾します。
一方で、グリーン電力を使って、水を電気分解して水素を作れば、CO2を出さないではないか、という議論もあります。しかし、問題は効率です。元々のグリーン電力が持って居るエネルギーポテンシャルを1とすると、電気分解水素⇒燃料電池⇒電力(モーター)と変換を繰り返す内に、エネルギーポテンシャルは数分1に「目減り」するのです。これでは、いくらCO2が出ないとは言え、グリーン電力で充電した電力をEVを直接動かす方が、何倍もエネルギー効率が高いでしょう。
加えて、水素ガスの貯蔵や取り使いや輸送が非常に危険である事も大きなネックでしょう。水素ガスを実用的に扱うには、ガスのままではなく液化する必要が生じます。水素を液化するには、マイナス250℃以下に冷却するか、常温状態での石化ではなんと1000気圧もの高圧が必要なのです。この液化にもエネルギーが必要ですし、水素はガスの中では最も分子サイズが小さいため、保管や輸送中の漏洩により目減りや火災・爆発事故も大いに懸念されるでしょう。経済性や安全性の視点だけから見ても水素社会の実現性は絶対無理と断ずるしか無さそうです。
水素社会を考えるなら、グリーン電力を使った「人造石油」を検討すべきでしょう。ガソリンや軽油や航空燃料と同等の性状や熱量を持つ人造石油を作る事が出来れば、今の石油社会のインフラがそのまま利用できることになり、地下から掘り出す二酸化炭素=石油・石炭を封印することも可能になるでしょう。勿論、その価格は今の石油の何倍にもなるでしょうが、電力の直接利用と並行していけば、製造量は抑制できるでしょう。Tヨタ社も、FCVの開発など止めて、人造石油の製造法でも研究すべきでしょう。持続可能な燃料の確保は、車屋の宿命でもあるでしょうから。

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