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2021年6月10日 (木)

3949 エネルギーロンダリング2

ロンダリングはランドリーの動名詞形ですので「洗浄」や「浄化」と言った意味合いの言葉ですが、近年はマネーロンダリング(資金洗浄)の様に、悪いイメージの言葉として使われる様になりました。エネルギーロンダリングも、良さそうなイメージを先行させながら、実はCO2削減には余り寄与しない様な取り組みを揶揄している言葉でもあります。
3948では水素社会を批判的な立場で解説しましたが、同様な例はいくつか挙げられそうです。例えばバイオマスです。木材や農業残差などのバイオマスをエネルギー源として利用するのは一見再エネとしての活用として良さそうな取り組みですが、ではそのバイオマスを集めるために使う林業機械や農業機械が費やす石油エネルギーのカウントや、伐採した木材資源を再生させるための植林が適正に行われたか、といったその再エネに関わる全ての負荷を勘定に入れる「ライフサイクルアセスメント」を行った上でGo/No goを決める必要がある訳です。
その意味で、例えば海外からバイオマスを輸入しながら稼働させているバイオマス発電所などは、まさにエネルギーロンダリングの見本の様なもので、即刻停止させるべきシロモノと言えるでしょう。同様に、製造・設置エネルギーを(投資回収ではなく)自身が発電したエネルギーとして回収するのに10年以上を要する太陽光発電も適正に評価する必要があるでしょうし、風力発電も同様のチェックが必要でしょう。大規模な土木工事を伴う再エネインフラの建設には、莫大な石油エネルギーが投入されているのですから。
一見。環境負荷が小さそうな再エネでも、その耐用年数は限定的であることに注意を払うべきでしょう。せっかく、金銭的投資や化石エネルギーの投入分が、10年以上にわたって発電されたエネルギーで回収出来たとしても、数年先に更新時期を迎える場合も多い訳ですから、全ての再エネケースでは、寿命時期まで想定した全体的なアセスメントが不可欠なのです。そこまで考えると、国が宣言した2050年度CO2の「実質」排出ゼロなど、夢のまた夢と切り捨てるしかありません。それよりも、現在を100%とした「省エネ50%」の達成こそが現実的な政策だと言えそうです。現在は、16%程度の再エネ率でも。50%の省エネが達成されれば30%以上に跳ね上がるのです。省エネの実現に多少の投資が必要だとしても、その投資回収期間は数年程度と短いでしょうし、他方で省エネ効果は長く続くのです。
50%省エネの達成には、モノの製造・消費・廃棄の量を減らす工夫、可能な限りモノを運ばない工夫、建物などの断熱・遮熱性の向上、季節外れの食品を口にしないなど、従来型の技術や工夫の範囲で十分届くと思うのです。

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