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2021年6月 8日 (火)

3948 エネルギーロンダリング

同じ様な事を別の言葉で言います。この国は、どうやらエネルギー源を「クリーンな?水素」に求める方向に舵を切っている様です。大手自動車メーカーがいち早く水素自動車を開発し、市場に投入したのもそれを後押し(実は先導?)したのかも知れません。しかし、天然に存在しない限りにおいては、水素は「2次エネルギー」に過ぎません。確かに、水素自体を燃やしても(酸素と反応させても)排出されるのは水だけですが、では水素を作るのにどんな1次エネルギーを使って、その際何が排出されるのかをしっかり吟味しなければならないでしょう。
つまり、水素を例えばLNGやナフサを改質して取り出す場合、副産物としてCO2が出てしまいます。もし、改質工場の煙突からこのCO2を排出するのであれば、車や火力発電所で石油を燃やしてエネルギーを得るのと何ら変わりはなくなるでしょう。もし、太陽光発電や風力発電からの再エネ電力で、水を電気分解して水素を得るのであれば少しはマシですが、それなら発電で得た電力で電気自動車を動かす方が、総合的な効率が高いのは、素人が考えても自明でしょう。全ての「エネルギー形態の変換には、エネルギーロスが不可避」だからです。再エネ電力を使って水素を得る場合の損失、出来た水素を圧縮して貯蔵、運搬する際に必要なかなり大きなエネルギー、燃料電池で電力を生みだして、それでモーターを動かす際の損失を合計すれば、再エネ電力で直接EVを動かすのに比べれば、たぶん有効なエネルギーは半分以下に目減りする事でしょう。つまり、水素をエネルギー源として使う事には、殆どメリットは出ないのです。それでも、T社が水素自動車の開発を止めないのは、あくまで「水素はクリーンなエネルギー源である」という消費者向けの「イメージ戦略」でしかないと言うしかないでしょう。それは、資本とマンパワーの偉大な無駄使いと言うしかありません。あるいは、CO2を排出する「汚いエネルギー」を一見クリーンな水素エネルギーに変換する「エネルギーロンダリング」と切り捨てざるを得ないでしょう。
短慮なイメージ戦略だけで、温暖化が止まる訳ではありません。実質的にCO2の排出を止め、更には既に排出されてしまったCO2の吸収源を増やすしか私たちに残された行動としてはあり得ない筈なのです。ならば、回り道でもある水素社会の実現などすぐにでも諦めて、その資本やマンパワーを、実質的なCO2削減に繋がる行動に振り向けるべきでしょう。やるべきは、水素社会へのシフトなどではなく、先ずは森林破壊を止めて、山に木を植え、海の汚染を止めて、植物プランクトンやサンゴを増やし、結果として大気中のCO2を減らす行動だと思うのです。

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