« 3971 お金から離れる | トップページ | 3973 地産地消の再考 »

2021年7月31日 (土)

3972 マテリアル循環

「持続可能な社会」という言葉の少し前、マスコミなどでは「循環型社会」と言う言葉が頻繁に使われた時期がありました。とは言いながら、この言葉は単にリサイクル率の高い社会などという、単純な社会と考えられていたのかも知れません。つまり、PETボトルであれば、リサイクル率が100%に近ければそれで良しとする風潮です。しかし、真の循環型社会は、物質の収支がキッチリ合っているいる社会だけを意味するのです。例えば、食べ物の循環を例に挙げるなら、農家が作物を植え付け、肥料や殺虫剤や水などをやりながら育て、市場を経由して流通し、消費者の胃袋に入って、最後は排せつされる訳ですが、ざっと考えてもこれは完全なマテリアルの「一方通行」典型でしょう。
江戸時代まで遡れば、江戸市民の排泄物は馬車に積まれて、近郊の農家の肥溜めに戻され、作物の肥料として「完全にリサイクル」されていた訳です。それどころか、し尿は作物との物々交換か、低額ながら有価で取引されていたのでした。これは、いわゆる「N:窒素循環」の一例ですが、水素(H2)や炭素(C)は、水や大気の自然循環の中で回っていますので、人手をかける必要はありません。
一方で、マテリアル循環の優等生である、鉄やアルミニウム、銅などを除けば、多くの金属資源やレアメタルなどの多くが一方通行の流れに乗せられているのです。何より、リサイクルに使われるエネルギー源である石炭や石油資源そのものが、莫大な量の一方通行となっている事実に目をつぶるべきではないでしょう。その結果が、今日ある様に大気中へのCO2の蓄積を招き、温暖化現象を引き起こしているからです。
厳密なマテリアル循環のためには、社会のインフラやシステムの綿密なデザインが必要でしょう。そうでなければ、物質はエントロピーの法則に従って、必ず環境中に分散・拡散することが必至だからです。それは、単に必要なマテリアルの散逸だけではなく、この国の黒歴史であり、途上国では現在の大問題である、不要なマテリアルによる「環境汚染=公害」を引き起こしてしまうのです。必要な社会システムとは、3Rの内、先ずはマテリアルの使用量を削減するReduceと、製品の再使用(Reuse)を基本とするものでなければなりません。その上で、完全なリサイクルシステムを構築するために、完全な回収システムをデザインする訳です。製品単価に対して十分に高額な、デポジット料金制度を設定するのがベストでしょう。空のPETボトル容器のデポジット料金が例えば50円であれば、空容器を捨てる人などは誰も居なくなるでしょう。勿論、その前にPET容器のデザインを統一し、肉厚も十分に厚くして、20回程度の再使用に耐えられる規格にすることが大前提ではありますが・・・。

|

« 3971 お金から離れる | トップページ | 3973 地産地消の再考 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 3971 お金から離れる | トップページ | 3973 地産地消の再考 »