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2021年7月27日 (火)

3969 人新世の「資本論」を読んで

久し振りに読み応えのある新書に出会えました。投稿者の子供世代よりまだ若い(30代前半)、S藤幸平の「人新世の資本論」です。これは、2021新書大賞にも選ばれていますが、著者は、C.マルクスの「資本論」を含む膨大な著述、取り分け晩年に残された著述を丁寧に読み起こしながら、現代社会が抱える諸問題、取り分け行き過ぎた資本主義(=巨大資本の台頭)による害と制御が効かなくなった気候変動に関わる諸問題に対し、新自由主義に基づく資本主義は、火に油を注ぎこそすれ、解決には無力であることを切々と訴えかけています。
返す刀で、しっかり働いた結果ではあるにせよ、高度成長期の果実を受け取った団塊世代含む、今高齢者と呼ばれる世代の「逃げ得」を許さないという強いメッセージも発しているのです。次稿以降で詳細な感想を述べていきますが、若い哲学者である著者の思索が、経済や地球環境や人間社会に蔓延しているパンダミックに至るまで、地球上での営み全体に注がれている視野の広さは、凡人の投稿者にとっては驚くべきことでもありました。
高齢者と呼ばれる私たち世代は、確かに高度成長期を生き延びて、一見国も庶民も豊かさを実感できる時代を体験してきた訳ですが、それは実は「お金」だけで評価された豊かさであるという事には気付かず(或いは気づかないふりをして)に暮らしてきたというしかなさそうなのです。国も、国の豊かさをGDPだけで評価し、公表してきたのでした。
その結果、我々は地域の絆や、家族の団らんや、心の豊かさ(文化活動)等を犠牲にして、馬車馬の様に働いてきたのでした。何も考えずに、目の前の課題(利益率だったり生産性だったりする指標です)だけを見ながら、鞭うたれた馬の様に前進するのは、ある面では楽でしょう。方向やスピードの加減など余計な事を考えなくて済むからです。何しろあの時代、夜遅くまで残業して、仕事を「こなす」事こそがまさに「サラリーマンの使命」だったのですから。
しかし、私たちは馬車馬であったが故に、経済成長のスピードを上げ過ぎたこと、つい最近まで(IPCCが警鐘を鳴らすまで)環境破壊を含む地球の悲鳴を聞く耳を持たなかったことを無視して、経済(景気)優先を是として事を猛省しなければならないでしょう。少なくとも、高齢者と呼ばれる人たちと、今社会を支えている世代の全ての人々は、この新書を手に取り、これからの人類の行く末に思いを馳せるべきだと思うのです。そして、次世代に残すべき「持続可能な社会」の礎の一部でも残して人生を終えるべきなのでしょう。という想いを新たにしたところです。さて、では何をすべきかを以下の稿で考えます。

 

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