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2021年7月25日 (日)

3968 都市化の罪と逆流

どの国でも、都市化(人口の都市集中)の流れは止まりません。特に途上国では都市に人口が集中し、スラム化が進んで、物価も上昇し、そこが住みにくい場所になってもトレンドに変化は生じないのです。この国では、その流れは殆んど止まったとはいえ、高度成長期以降の都市集中のスピードにはすさまじいものがありました。その痕跡は、例えば都市郊外の大規模団地や、里山を削って谷を埋めて作った、郊外に延々と広がる大規模住宅地に明確に残っています。とは言え、都市集中が止まったのは、単に人口がすっかり減ってしまった田舎に、最早都市に出せる人口が残っていない事に原因があり、いわば消極的な都市化の停止であると言えるでしょう。
さてその都市化には、重大な罪があります。つまり、大都市を支えているサプライチェーンやインフラが巨大になり過ぎ、最早人間のコントロールを越えつつある点と、都市を支える物流がほぼン完全に一方通行である点、加えてそれを支えるための莫大なエネルギー供給に、限界が見えている点などが挙げられます。サプライチェーンについて言えば、現状は輸入を含め何とかつながっては居ますが、海外からのサプライが弱くなると、輸入依存率の高いこの国では、すぐにでも食糧を含むサプライ品のひっ迫が生ずると懸念されます。インフラについて言えば、高度成長期以降拡大を続けて来たインフラ(上下水道や道路など)の老朽化が進んでおり、早晩インフラの大規模な更新が必要になる時期に入るのです。
しかし、都市化の最大の罪は都市を支える、物流とエネルギーが環境に与える負荷の大きさだと言えるでしょう。都市に大量のモノを供給するために、船舶をトラック及び鉄道を総動員して日夜運び続ける必要がありますし、一日でも物流が途絶えると、都市は直ちにモノ不足に陥ります。エネルギーについても同様です。都市内部でのエネルギー自給は、全く無理な状況です。代わって、新潟や福島など、遠く離れた場所に立地する発電所に、供給を頼り切っているのです。その事実は、3.11の震災で白日の下に晒されたのでした。福島からは、水力発電の余剰分と原発の発電量のほぼ全量が、東京(関東)に送られていたのでした。
つまり、大都市を支えるために田舎や海外で農産物を生産するための負荷、それを運ぶ物流からの負荷、エネルギーを供給するため、都市外で発生する負荷、都市で生まれた下水やごみを処理する負荷などなど、多くの環境負荷が都市から外部に押し付けられている訳です。その一方で、田舎には最早農業を持続される人が残っていないという有様なのです。このブログでも何度も提案していますが、既に都市化は止まっては居ますが、それだけでは不十分で、都市化の逆向きの人の流れを作り出さねばならない時代なのです。それも、政策や税制なども駆使しつつかなりの勢いをつける必要があるのです。

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