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2021年8月11日 (水)

3974 費用の外部化

資本主義システムの影(負)の部分の一つに、費用の外部化があります。つまり、市場で取引される「価格」には、目には見えない「外部費用」が隠されている場合が殆どだということなのです。例えば、鉱物資源を考えてみましょう。鉱物は、純粋な形で採掘される訳ではなく、殆どの場合は化合物として採掘され、その中でも純度の高い部分を選鉱した上で、最終的には工場で精錬され、原材料として市場で取引されることになるのです。しかし、例えば鉱山労働者の賃金は、過酷な労働の割に低く、また鉱山の付近では、選鉱された際に出る不要な鉱滓は、ごみとしてうず高く積まれ、そのまま放置されていることでしょう。もし、労働者に高い賃金を払い、別の廃棄専用の坑道を掘って鉱滓を埋め戻すとすると、莫大な費用が発生するので、原材料価格はかなりの程度高くなるでしょう。つまり、この場合は将来世代がこの鉱滓を処理しなければならなくなった場合の費用を外部化(隠して)して、現世代の労働者を過酷な待遇で使い、将来世代に廃棄物処理のツケ回しをしている状況だと言えます。
農産物の例では、大産地では大量の地下水をくみ上げ、施肥はするにしても土壌の本来持つ微量を絞り出し、毎年どうにか市場に出荷している訳ですが、土壌を本来持って居る状態に戻すためには、例えば輪作とか休耕とかを組み合わせて、土壌を「休ませる」必要がある筈ですが、それをしないツケは、やがて将来世代へ押し付ける結果になるのです。
製造業でも、ツケを原材料の供給国(多くは途上国です)を買いたたき、或いは非正規の従業員を駆使しながら、つまりかなりの費用を外部化しながら、「市場が求める価格」で製品を出荷し続けるのです。そうでなければ、別の資本によるライバル企業に負けてしまうので、外部化を止める事は出来ない状況に置かれても居るのです。
市場における自由競争は、一見市場価格という基準を生み出し、価格を抑えるという理想に近いマーケットの形と言われますが、結局は費用の外部化が上手い企業が勝ち残る、歪な構造を持って居るシステムだと断ずるしかありません。

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