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2021年10月 9日 (土)

3993 水道橋の崩落に思う

W歌山市の水道橋の崩落の実況映像は、かなり衝撃的なものでした。その原因としては、導管を吊っている吊り金具の破断だと想像できます。当然の事ながら吊り金具には、常に水道水に満たされた、重い鉄管を吊り下げる荷重が掛かっています。それは、吊り金具に対しては引っ張り荷重を生じさせますが、エンジニアリングの常識として、それによって生ずる応力は、破断応力に対しては数倍の「安全率」を見込んで設計されている筈です。
事故のプロセスとしては、間違いなく金具が腐食によって肉厚が痩せ、結果として設計応力を超えてしまい、最終的には破断に至ったものでしょう。金属腐食は、引っ張り応力下においては、粒界腐食が進行(=応力腐食割れ)し易い傾向にあり、外観検査だけでは発見不可能な、クラック長さ(深さ)が知らない内に拡大するのです。これを検知するには、浸透探傷や超音波検査などで詳細に金具内部の亀裂を検査する必要がありますが、あの水道橋を写真で見る限り、その様な詳細検査が可能となる様な、検査員のアクセスは出来にくそうに思えます。つまりは、並行する橋から眺めて、外観上腐食の程度を確認する、いわば殆どホッタラカシ状態にあったと想像できます。水道橋に限らず、水道管などの水道インフラの経年劣化の進行が問題になりつつあります。つまりは、背景には高度成長期の市街地域の拡大に伴って、延長、拡張された水道インフラが、揃って寿命を迎えているとの事情があるのです。
ではどうするべきかですが、先ずは金属内部の亀裂を早期に検出できる技術を磨くべきでしょう。内部亀裂は、プリミティブな方法としては「浸透探傷検査」がありますが、超音波や渦電流を使った技術が実用的でしょう。それをコンピュータによる画像化技術と組み合わせれば、検査員の習熟度が低くても十分対応可能と思われます。例えば、安全率が2として設計してあるインフラの場合、部材の肉厚が半分になる以前に補強や部材更新といった修理を行えば、破壊・崩落と言った重大事故は防止できることになります。

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