2006年8月10日 (木)

8 利便(便利なこと)

便利な方が良いとは、一体誰が決めたことでしょうか。昔の(田舎の)家では、ご飯はカマドで炊きました。水は井戸から、手押しポンプでくみ上げましたし、燃料の薪は里山で集めてくるしかありませんでした。しかし、今や田舎でもほぼ100%の家庭で電気釜を使って炊飯するでしょうし、やはりほぼ100%の家庭で水道水を使っているはずです。主婦の労働は軽くなったでしょうし、子供達が家事の手伝いをする風景もすっかり消えてしまいました。

移動は、いまや短い距離でも車やタクシーを使いますし、郵便ポストまで出かけなくても、家の中や携帯電話から直接メールが出せます。寒ければ暖房を入れ、少し熱ければすぐエアコンを回します。電化製品や車によって確かに私たちの生活は便利にはなりましたが、失ったものも大きいと考えられます。失ったものを考えてみましょう。まず、間違いなく体力や体の抵抗力が弱っているはずです。何しろ筋肉を殆ど使いませんし、皮膚の神経も暑さ寒さに過敏になりすぎているでしょうし、手先は間違いなく不器用になっている筈です。利便は結局、私たちからどんどん能力を奪っていると結論できます。

でも徒歩や自転車で足腰を鍛え、ホウキやウチワを使って腕の筋力を使い、小刀で鉛筆を削る事は、環境にやさしいと同時に、自分の能力の維持や向上にどれだけ役に立つかを考えて見れば、結論は明確です。それでもなお便利であることを選ぶなら、「どうぞ」というしかありませんが・・・。

| | コメント (1) | トラックバック (0)